「離婚をしたいが住宅ローンがまだ残っている」
「住宅ローンを残したまま離婚したらどっちが払うの?」
「離婚したいけど、この家に住み続けたい」
離婚をする時に必ず出る話が財産分与と引っ越し。
特に住宅ローンがある場合はどちらが支払うべきなのかでもめる要因になることが多いと思います。
離婚は人生の大きな転機であるがゆえに、法的手続きや離婚協議などの処理が多いです。
特に住宅ローンは処理が複雑ですが、離婚後の問題を起こさないためにもきちんとした処理をしておく必要があります。
- 離婚時に住宅ローンについて知っておくべき事
- 住宅ローンの返済方法
- 住宅ローンが残ったまま離婚する時の注意点
本記事では主に上記の3点について解説します。
離婚するまでによく理解して安心できる将来を手に入れましょう。
住宅ローンが残っている場合の離婚のときに調べておくべき事
住宅ローンが残っているのに離婚しても、ローンは支払わなければなりません。
離婚は財産分与をしますが、住宅ローンなどの負債も同様に夫婦間で半分ずつに分けます。
またローンの契約時に家の名義は誰なのか、ローンの債務者や連帯責任者を誰にするのかを決めたはずですが、離婚によってそれぞれの名義変更が必要です。
ローンについて知っておくべきことは主に4つあります。
- 家の名義人
- ローンの負債社と残債額
- 家の査定額
- 査定額と残債額の差
離婚協議で自分が損をしないように、住宅ローンや家のことを調べて離婚協議に臨むことが大事です。
家の名義の確認
家の名義人の確認方法は「登記簿謄本」を取得しましょう。
登記簿謄本には家の広さや住所などの情報がかかれており、名義人も確認することができます。
一戸建て住宅の場合は土地と建物のそれぞれの登記簿謄本の取得が必要です。
登記簿謄本を取得する方法は主に3つあります。
- 近くの法務局に行き、交付申請書を提出して交付してもらう (交付手数料:1通600円) 電話で相談して郵送してもらうことも可能
- インターネットで法務局に交付の申請をして登記簿謄本を郵送してもらう、または窓口に受け取りに行く (交付手数料:郵送の場合1通500円、窓口受取1通480円)
- 登記情報提供サービスを利用する (手数料1通334円)
登記情報提供サービスは登記の内容を閲覧することが目的のため提出書類としては使用できません。
協議離婚での話し合いだけで使用するのであれば、3の登記情報提供サービスでよいでしょう。
調停離婚や裁判離婚になる場合は、1または2の方法で登記簿原本を取得することをおすすめします。
住宅ローンの債務者や連帯保証人と残債の確認
住宅ローンの債務者(名義人)や連帯保証人の確認はローンの契約時の金融機関との「金銭貸借契約書」で内容を確認できます。
残債は定期的に金融機関から送られてくる「残高証明書」で確認しましょう。
もし紛失した場合は、ローンを組んだ金融機関に電話で問い合わせをすることもできます。
離婚に際して現時点での債務者が誰なのかを知っておく必要があるのです。
住宅の査定方法
家の査定は近くの不動産会社、または購入時の不動産会社3〜4社に依頼するとよいでしょう。
特に離婚時に家を売却する予定であれば、その中から一番高い査定額を出した会社の金額で話を進めると金銭的に損はしないと思います。
離婚後に売却するのであれば、引っ越しの準備も兼ねて整理しておきましょう。
オーバーローンとアンダーローン
住宅を査定してもらった時にオーバーローンなのかアンダーローンなのかといった話が出てきます。
オーバーローンとは、残債が査定額よりも高い状態です。
一方、アンダーローンとは、残債が査定額よりも低い状態です。
家を売却したお金でローンの残債を支払った場合、おつりがくる状態を指します。
離婚時に住宅を売却した時にアンダーローンだった場合は、住宅ローンの支払いはなくなったと思っていいでしょう。
離婚したいときの住宅ローンの返済方法
離婚する時の住宅ローンの返済方法の解決策は主に3つあります。
いずれも自分たちの話し合いだけでなく調停委員や裁判所を介して決定する方がよいでしょう。
- 家を売却する
- どちらか一方が買い取って残りのローンを支払う
- 住宅とローンの名義をそのままにして共同で支払う
離婚する時の住宅ローンはどうするのが良いのか夫婦間で納得できる話し合いができればよいのですが、家の所有権とローンの支払い義務があるので慎重に決めましょう。
車のローンも同様なので参考にしてください。
家を売却する
離婚後に問題を残したくないのであれば、家を売却することが選択肢の1つといえます。
財産分与でローンなどの負債やローン完済後の権利でもめる事が少なくなるからです。
家を売却すると家の権利がなくなり、あとは支払いの義務だけが残ります。
支払いもローンのような複雑さがなく、金額でほかの物と一緒に財産分与できるのでわかりやすいでしょう。
残債と住宅の査定額を知れば、残りの支払額がいくらなのかを計算して折半するのです。
ただし、一度で払えない場合は新たにローンを組む必要があります。
オーバーローンの場合
オーバーローンとは、残債が査定額よりも高い状態です。
残りの差額を半分ずつにして双方が一括、または新たにローンを組んで支払うことで家の財産分与のやローンの支払いの問題は解決できます。
株や有価証券が財産にある場合は、それらも売却することで残りの負債に充てることも一つの方法です。
アンダーローンの場合
アンダーローンとは、残債が査定額よりも低い状態です。
なるべく査定額を高くするために、査定を受ける時は家をきれいな状態にしておくことがポイントです。
夫婦の一方が家を買い取る
夫婦のどちらかが買い取って残りのローンを支払うこともできます。
主な流れは以下の通りです。
- 住宅ローンの残債を調べる
- 家を査定してもらう
- (家の価値+その他財産-ローンの残債)÷2=財産分与額
この時に収入の少ない方が買い取る場合は属性や信用力不足でローンが組めないこともあります。
夫婦の一方が家に住み続けたい場合、その人が家を買い取る方法もあります。具体的には、以下の手順を踏みます。
- 住宅ローンの残高を確認する
- 買い取り側が新たなローンを組む
- 買い取り金額を元に、もう一方に対して清算金を支払う
この方法は、家を手放したくない場合に有効ですが、新たにローンを組むための信用力が必要です。
共有名義にして一方が住み続ける
離婚後に名義人または債務者でない方が住み続けるために、離婚後も共有名義のままにすることができます。
共有名義にする場合はローンの返済や固定資産税の支払いについて明確な約束をすることが必要です。
共有名義を続ける場合、以下のようなポイントがあります。
- 返済方法を明確にする(どちらが、どのようにして、いくら支払うのか)
- 定期的に支払い状況を書面で確認する
- 公正証書などに合意内容を記載しておく
離婚後はお互いが他人となります。
元夫婦ということでお互いの信頼の上で成り立つ選択肢です。
信用ができない場合は選択するのは避けた方がよいでしょう。
また支払い義務の不履行があった場合に裁判になることもありますので、公正証書には詳しく書いておくことが重要です。
住宅ローンが残ったまま離婚する時の注意点
住宅ローンが残っている状態で離婚する場合、住宅ローンや財産分与を本人同士で合意に達してもさまざまな法的手続きが伴います。
主な変更手続きは以下の3つです。
- 家やローンの名義変更
- ローンの債務者と連帯保証人の変更
- 新たなローンの申請の審査
離婚した以上は基本的に財産も名義も変更の対象となると考えておきましょう。
ただし住宅ローンの返済中は原則として名義変更はできません。
また共有財産として残す場合は名義の変更をしなくても済むものもありますが、離婚の条件によって複雑になっています。
弁護士や司法書士、不動産業者、金融機関、区市町村役場に相談し、専門家の指示を仰ぎましょう。
離婚後に万一トラブルが起きた時に、片方または双方にとって不利益な処分を受けることもあります。
家の名義変更
離婚に伴って家の名義を変更することは可能ですが、住宅ローンの名義人の変更をせずに勝手に家の名義を変更することはしてはいけません。
必ず金融機関にも家の名義変更の連絡が必要です。
家の名義変更については、主に以下の手順で進めます。
- 離婚協議書(協議離婚合意書・登記原因証明情報)を作成する
- 離婚届を役所に提出する
- 所有権移転登記の申請をおこなう
離婚協議書に離婚による財産分与に伴い、家の名義を変更する旨を記載します。
次に離婚届の提出をしますが、必ず所有権移転登記の申請の前に行ってください。
離婚後に家に住み続ける場合、家の名義が相手にあると勝手に売却される可能性があります。
また必ず金融機関への申請・連絡は忘れずにしましょう。
金融機関に内緒で家の名義を変更したことが発覚すると一括返金などを求められることがあるので注意が必要です。
専門家として司法書士、市町村役場に相談するとよいでしょう。
ローンの債務者と連帯保証人の変更
離婚による住宅ローンの名義人(債務者)の変更は原則的にできません。
住宅ローンの契約をした時に金融機関が収入・属性・返済能力などの審査を経て契約しており、新たな債務者の審査結果がないからです。
金融機関としては収入・属性・返済能力の審査をしていない人物への貸し付けはリスクがあるので安易には変更を認めてくれません。
ただし離婚などでローン名義の変更先の人物の収入などが審査にクリアできるのであれば認めてもらえる場合もあります。
目安として年間の返済負担率が35%以下なら変更を認められると認識しておきましょう。
年間の返済負担率は以下の式で計算できます。
連帯保証人の変更も名義人同様に変更は難しいでしょう。
夫が名義人で妻が連帯保証人だったのを離婚時に妻が名義人になった場合、連帯保証人がいないのでは名義人の変更も認められません。
また連帯保証人の妻が連帯保証から外れた場合も同様です。
連帯保証人を変更する場合は、名義人の変更と同じく収入・属性・返済能力の審査を通過できる人物にお願いして金融機関に紹介しなければなりません。
また住宅ローンの名義人や連帯保証人の変更をしても家の名義人の変更も同時に行ったのであれば金融機関への報告も必要です。
ローンの名義変更については専門家として金融機関や不動産会社に相談するとよいでしょう。
新たなローンの申請の審査
離婚の協議で家に住み続けるための名義変更に関する協議がうまく進まなかったり、金融機関からの審査が通らなかったりする場合もあります。
それでも離婚時に住んでいた家に住み続けるのであれば相手から家を買い上げる必要があり、新たに自分名義でローンを組まなければなりません。
簡単に言えば離婚時に夫婦で家をいったん売却すると同時に自分がその家を即購入するという流れです。
計算上は財産分与で家の売却して得た利益など財産の半分を相手に支払い、その残りで家を買い直すと想定してください。
これまで2人の収入で支払っていたものを自分1人の収入から支払いをするので、経済的な負担は大きくなります。
しかし購入価格が低くなっていることで月々の支払額が低くなることもあるでしょう。
あとは自分の収入でローン審査に通るのか、誰に連帯保証人になってもらうのかが問題です。
自身の財務状況をしっかり確認し、無理のない計画を立てることが重要です。
新たなローンの申請については金融機関に相談するとよいでしょう。
まとめ
住宅ローンが残っているが離婚をしたい場合、はじめに確認しておくことがいくつかあります。
- 離婚前の家の名義人
- 離婚前のローンの債務者と連帯責任者
- 家の価値とローンの残債
離婚には財産分与が発生し、基本的に金額で計算されます。
また不動産には名義人が決まっており、権利と義務があるのです。
財産分与のときにアンダーローンであれば大きな問題はないですが、オーバーローン(家を売却しても支払いが残る場合)であれば手続きは複雑になります。
その場合は以下の方法で対処できます。
- 家を売却して残債も双方で均等割りをして返済する
- 夫婦の一方が家を買い取り、必要な名義変更を行う
- 共有名義、または名義をそのままにして住み続ける方が名義人に家賃として支払う
3の場合は離婚後も双方の協力関係が必要です。
途中でもめる事のないように離婚協議書や公正証書に詳細を記載しなければなりません。
特に誰が・いつ・いくら・どこに・どのようにして支払うのかを明確にしましょう。
また名義人が相手に相談なしに売却などしないことや、住み続ける側の滞納があった場合の対応についても記載しておく必要があります。
専門的な知識が必要になるので司法書士などに相談することがおすすめです。
住宅ローンが残ったまま離婚する場合は法的な手続きがあり離婚の条件によっては複雑化します。
相手との争いだけでなく金融機関からのローンの解約などの問題も発生する可能性があるので注意が必要です。
離婚と住宅ローンの問題は複雑ですが、適切な対処法を選ぶことで円満な離婚ができます。
専門家への相談や助言を受けながら、自分たちに最適な方法を見つけ、新しい生活への第一歩を踏み出しましょう。
(執筆者 大田恵三)