年忌法要の早見表。仏教・神道・キリスト教の違いも解説!

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大切な方を失った後、故人を偲んで定期的に供養するための儀式が「法要」です。
しかし、宗派や宗教によってその考え方や行い方は大きく異なります。

この記事では、仏教の年忌法要を中心に、神道の霊祭キリスト教の追悼の集いまで、それぞれの儀式の違いを徹底解説。
故人を想う気持ちを大切にしながら、適切な形で供養を行うための一助となれば幸いです。

まずは、多くの方が参考にされる仏教の年忌法要の早見表から見ていきましょう。

 

仏教における年忌法要の早見表

年忌法要には、初七日や四十九日といった「忌日法要」に加えて、一周忌、三回忌、七回忌などの「年忌法要」があります。特に三回忌までは広く知られており、多くのご家庭で営まれていますが、十三回忌以降になると省略する場合も見られます。

一般的な仏教の年忌法要において、命日から何年後にどの法要を行うか、また「数え年」では何回忌にあたるのかをまとめています。法要の予定を立てる際の参考にしてください。

年忌法要の早見表(仏教)
法要名 命日からの日・年数 数え年での年数 備考
初七日 7日後 1年目 忌日法要。 亡くなった日を含めて7日目
四十九日 49日後 1年目 忌明け法要。 満中陰とも呼ばれる
一周忌 満1年 2年目 初めての年忌法要
三回忌 満2年 3年目 比較的多く行われる法要。 実際には2年目だが「三回忌」
七回忌 満6年 7年目 比較的多く行われる法要
十三回忌 満12年 13年目 家族・親族中心で行うことが多い
十七回忌 満16年 17年目 地域や家庭によっては省略される
二十三回忌 満22年 23年目 必須ではないが行う家もある
二十七回忌 満26年 27年目 同上
三十三回忌 満32年 33年目 最後の年忌法要とされることが多い
五十回忌 満49年 50年目 実施はまれ。合同法要などで営まれる。
百回忌 満99年 100年目 実施はまれ。 すでに喪主を務めた方も含めてお亡くなりになっているものの、先祖供養を代々行っている家系では行われている。
    ※ 亡くなった年を「1年目」と計算する

この表の情報は、一般的な仏教の慣習に基づいていますが、宗派や地域、菩提寺の方針によって異なる場合があります。

具体的な日程や方法については、お寺の住職に相談されるとよいでしょう。

一般的には初七日〜50回忌まで行うが、最近では省略傾向も

仏教の年忌法要は故人の四十九日を終えた後、一周忌、三回忌、七回忌と続き、一般的には三十三回忌五十回忌をもって「弔い上げ(とむらいあげ)」とされ、法要を終えることが多いです。

弔い上げの法要をもって故人はご先祖様となり、供養は一区切りしたと考えます。
しかし現代のライフスタイルの変化に伴い、全ての回忌を行うのが難しい家庭も増加中です。

そのため七回忌や十三回忌で弔い上げとするなど、柔軟に法要を行う傾向が見られます。

 

年忌法要とは?その意味と目的

年忌法要(ねんきほうよう)とは、故人の冥福を祈り供養を行う仏教の重要な儀式です。
故人が亡くなってから特定の年数ごとに執り行われ、残された家族や親族が集まる大切な機会でもあります。
故人を偲び生前の感謝を改めて伝える場として、また親族のつながりを再認識する場としても大事な場です。

法要の執り行う場所

一般的には菩提寺の本堂や自宅のお仏壇の前で行います。
人数が多く集まる場合は、セレモニーホールなどを利用することも可能です。

菩提寺については葬儀の時の僧侶のおられるお寺と考えていいでしょう。
引越などで当時の菩提寺から遠い場合は、同じ宗派のお寺にお願いすることも可能ですし、宗派を問わないのであれば近くのお寺に依頼しても問題ありません。

法要の執り行うために必要な情報

必要なものは故人のお名前・戒名・命日で、もしあれば過去帳など準備しておくといいでしょう。
その情報を基に法要の準備をしていただけます。
法要ではお寺が卒塔婆を用意してくれる場合もありますので、情報が必要になるのです。

複数の故人の法要をまとめて行う事も可能です。
時折、故人3人分を3年連続して行うといったタイミングになるご家庭もあるでしょう。
そういった場合もお寺に相談すれば合同法要という形で執り行ってもらえます。

卒塔婆とは何か

卒塔婆とは木の細長い板に書いたものです。
書かれている内容は故人に関する梵字・戒名・命日などが書かれています。

卒塔婆はそのままお墓の横に立てるなどで保管するのが良いでしょう。
古くなった卒塔婆を廃棄したいときは、お寺にお願いして持ち込めば対応してくれます。

 

仏教における年忌法要の考え方と宗派ごとの違い

仏教における年忌法要は故人の魂が段階的に成仏していく過程を供養し、遺された者が故人を偲び感謝を捧げる大切な儀式です。

しかし同じ仏教であっても宗派によってその考え方や儀式の名称には、いくつかの違いがあります。

宗派による細かい違い

日本の仏教には様々な宗派があり、それぞれの教義に基づいた考え方があります。

また同じ宗派の中でもさらに分派によって細かな違いがあります。
違いや特徴については法要の申し込みの時にこちらから質問をするのが良いでしょう

ほとんどの人が数年に一度の事なので、よく理解していないのが現状です。
知らないとか忘れたという事は特に恥ずかしいことではありません。

浄土真宗

浄土真宗では、故人を「供養する」というよりも故人を偲び、故人を通して仏法に出会う「追悼儀礼(ついとうぎれい)」としての意味合いがあります。

なぜなら 浄土真宗では、故人は亡くなるとすぐに阿弥陀如来の力によって浄土へ往生し仏になると考えられているからです。

法要の際には、故人を偲びつつ、仏の教えに耳を傾けることに重きが置かれます。

日蓮宗

日蓮宗では題目(南無妙法蓮華経)の読誦によって供養を行うのが一般的です。

その他の宗派(真言宗、天台宗、曹洞宗、臨済宗など)

多くの宗派では故人が極楽浄土へ旅立ち、成仏できるように遺族が供養を積み重ねることが大切だと考えられています。
法要では読経を通じて故人の冥福を祈り、徳を積むことで故人を弔う意味合いが深いです。

 

神道における法要(霊祭)の考え方

神道では仏教でいう「法要」という言葉は用いず、「霊祭(みたままつり)」と呼びます。
故人の御霊(みたま)を鎮め、家の守り神として祀り子孫繁栄を願うのが神道の追悼儀礼の基本的な考え方です。


儀式は神職による祭詞の奏上・玉串奉奠(たまぐしほうてん)・神酒の供えなどが行われます。
年祭は自宅や斎場、墓所などで神社の神職を招いて執り行います。
神社は穢れを持ち込まないので、神社内で行う事はありません。


また仏教との区別のために冥福、成仏、供養など仏教用語は使用しないで行います。
仏教の読経や焼香とは異なる雰囲気です。

神道で使用される言葉

神道では故人が亡くなると家の守護神となり、子孫を見守ると考えられています。
そして故人の冥福を祈る仏教の法要とは異なり、故人の御霊を大切に祀りその存在を称える「霊祭」が行われます。
「みたま」という言葉が示す通り、故人の魂を敬い感謝を捧げる意味合いが強い儀式です。

霊祭には、仏教の忌日法要にあたる「忌日祭(きじつさい)」と年忌法要にあたる「年祭(ねんさい)」があります。

忌日祭は亡くなった日から数えて、十日ごと(十日祭、二十日祭、三十日祭、四十日祭)に行われます。
特に重要なのは五十日祭(ごじゅうにちさい)」で、仏教の四十九日にあたり、この日をもって忌明けとされます
その後、家庭によっては百日祭も行われます。

年祭とは仏教での「年忌法要」のような意味合いがあります。
亡くなった翌年に行われる「
一年祭(いちねんさい)」が仏教の一周忌にあたります。
その後は、三年祭、五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、四十年祭、そして五十年祭と続き、これを最後に祭祀を終えるのが一般的です。

神棚封じ・忌明けなど独自の慣習

神道には、仏教にはない独自の慣習があります。
神道での「葬儀・法要」があまり知られていないため、この機に学んでおきましょう。

神棚封じ(かみだなふうじ)

故人が亡くなった日から五十日祭までの忌中の期間は、神棚を白い半紙や布で隠して封じます。

死の穢れ(けがれ)が神聖な神棚に及ばないようにするためです。

忌明け(きあけ)

 五十日祭をもって忌明けとなり、神棚封じも解かれて通常の生活に戻ります。
忌明け後には、近親者や友人などを招いて「直会(なおらい)」と呼ばれる会食を行うこともあります。

 

キリスト教における追悼の考え方

キリスト教では故人が亡くなると神のもとに召され、永遠の命が与えられると考えられています。
仏教とは違い、カトリック・プロテスタント共に「死は祝福されるべきこと」とされています。


仏教や神道のような「供養」という概念や、特定の年ごとに執り行う「年忌」という習慣はありません。
故人を偲び、神への感謝を捧げる「追悼の集い」が中心となります。

カトリック:追悼ミサ(命日ミサ)など

カトリックでは、故人の魂のために祈りを捧げる「追悼ミサ(ついとうミサ)が行われます。

  • 故人の命日や、故人のための特別な祈りの機会に、教会でミサが捧げられます。
  • 特に、亡くなってから3日目、7日目、30日目などに「追悼ミサ」を行うことが多く、その後も定期的に祈りを捧げることがあります。
  • ミサでは、聖書の朗読や説教が行われ、故人の生前の徳を偲び、永遠の安息を願います。

プロテスタント:記念会(礼拝スタイル)

プロテスタントでは、故人を偲ぶ集いを「記念会(きねんかい)」と呼びます。

  • 故人の「召天記念日(しょうてんきねんび)」(亡くなった日)に、教会や自宅で遺族や親しい友人が集まって行われます。
  • 記念会は、牧師による聖書の朗読、賛美歌の斉唱、牧師によるお話(説教)、祈りなどで構成される「礼拝」の形式をとることが一般的です。
  • 故人を偲びつつ、神の恵みや希望に感謝を捧げる場として位置づけられます。

キリスト教には、仏教や神道のような定期的な「年忌」という概念はありません。
しかし故人の命日を大切にし、その日に家族や友人が集まって故人を偲んだり教会で祈りを捧げたりする習慣はあります。

故人が神のもとにいることを信じ、その魂に安らぎがあることを感謝する意味合いが込められています。

宗教・宗派別の法要・追悼行事の比較表
宗教 法要の呼び名 節目 形式・特徴 場所
仏教 年忌法要 初七日~百回忌 僧侶
読経、焼香、法話など
お寺・仏壇前・墓所
神道 霊祭(みたままつり) 十日祭、五十日祭、
一年祭、三年祭など
宮司他
祭詞奏上、玉串奉奠、神酒など
自宅・墓所
キリスト教
(カトリック)
追悼ミサ 故人の死後、7日目、30日目頃
1年後の帰天日(命日)
10年目、20年目に最大のミサ
神父(司祭)
ミサ、聖歌、祈祷、聖書朗読、
茶話会など
教会
キリスト教
(プロテスタント)
記念会(追悼礼拝) 1年後、3年後、7年後の記念日
(召天記念日・命日)
牧師
礼拝、賛美歌、説教、祈祷、
茶話会など
教会・自宅

 

まとめ:宗派を超えて、故人を偲ぶ心を大切に

法要の形式が多様化する中で、「故人を心に留め、思い出すこと自体が最大の供養になる」という考え方も広まっています。
豪華な法要を執り行えなくても、故人との思い出を大切にし語り継いでいくことが重要です。

形式にこだわりすぎずに遺された家族が無理なく、心から故人を偲べる方法を選ぶことが現代における供養の大切なポイントと言えるでしょう。

それぞれの宗教や宗派には固有の儀式や慣習がありますが、共通しているのは、亡くなった大切な人を偲び、感謝を捧げる「故人を思う心」です。
大切なのは形式や慣習に厳密に縛られすぎることなく、ご自身の状況や故人の意思、そして残された家族の想いに寄り添った形で供養を行うことです。

それぞれの違いを理解した上で、故人を尊び感謝する方法を選びましょう。

 

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