詐欺。あなたはこれまでの人生で何度騙されましたか?いくらのお金を騙し取られましたか? 振り込め詐欺をはじめ様々な場面で詐欺に注意という意識を持っている人でも、詐欺師はその上を考えてきます。
詐欺かも知れないと思える看板は表に見せません。
中に入ってもまだわかりません。良心的な対応を見せています。
しかし知らない世界には知らないルールが付き物です。
知らないルールに乗り始めた時から、あなたは騙され始めているのです。
その額はあなたの気付きが遅ければ遅いほど大きくなります。
【始まり】 偽サイトへの誘導。信用させるためにはじめはにお金を支払ってくれる。
2024年1月、スマホのTikTokで「インスタのフォローをするだけで報酬が発生」という“副業“を見つけた。
専用サイトに登録すると私に専属のアシスタントが付く。別のチャットルームに招待されると、そこでは約40分ごとに指示(タスク)発表される。
「“○○○○”をフォローしてそのスクショを送ってください」という指示に従い、そのインスタ画面を開け、フォローした画面のスクショをアシスタントに送ると、100円~700円の報酬がもらえる。
毎日初めのタスクは100円で、連続して行うと50円ずつ報酬が増えるが、一度タスクを飛ばすとまた100円からになる。ここで溜まった報酬は一旦登録したサイトのウォレットに貯まるが、5,000円以上から自分の口座に引き出し可能だそうだ。引き出しの手順はまず自分のアシスタントに依頼しなければならない。
また、タスクはスクショだけでなく1日に数回、“福祉タスク“なる物があり、これは10,000円から500,000円までのいくつかの枠で投資をする。投資の際にはさらに別のチャットルームで数人の作業者(自分たち)とガイドがいて、そのガイドの指示でタスクを行う。
タスクの前に投資金額をアシスタントから指示された口座へ振り込んでその明細のスクショを送る必要がある(仮に30,000円送る)。すると送った金額が専用サイトの架空の自分の名前の口座(ウォレット)に入金される。次にガイドの指示に従って、「商品名」、「投資金額」、「投資の時間」、「上昇又は下降」、「確認ボタンの押す時間」が表示されてすぐにその通りに行う。全員が問題なければ、約30%の利益付でサイト内の架空の口座に振り込まれる(残高が39,000円になっている。)
この状態でアシスタントに引き出しの申請をすれば、自分の本当の銀行口座に39,000円が約1時間後に振り込まれる。(本当にお金が増えたと実感させる)
ただし、同じ日に同じ金額の枠はできないので、次は50,000円の枠で投資して、同様に1時間後には65,000円が振り込まれるので信用してしまう。
【騙しの手順】複雑なタスクのルール ちょっとくらいの損失くらいならやってみよう!が間違いの始まり。
ある日、同じく最低金額の10,000円の投資枠を希望したが、タスク開始から1分以内なのに「もう枠が残っていない」と言われたので、30,000円の枠で投資することにした。元々30,000円以上の投資を今後はしないと決めていたので、「今日はこれで終わりだな」と思いながら始めた。4人の作業者がタスクを始めたが、1人が指示と違う商品を選択して取引に失敗した。その影響か私も取引失敗に終わった。これ以上は危険かな?と思い、「私の30,000円は消えたのですね?」と確認して退室しようとしたら、ガイドが「アシスタントに報告してください、やり直しができます」との事でその通りにすると、架空口座に再度30,000円が表示されていた。そして先の失敗した人と私だけでタスクを行った。結果、成功したので今日はこれで止めようとしたが、失敗した場合は「修理タスク」というものが発生するとの事でした。これを拒否すると、
- 先の39,000円がもらえない。
- 残り3人も39,000円がもらえなくなる。
との理由で、修理作業をしなければならないと言われた。そのタスクへの投資金額は85,000円で、成功すると120,000円の報酬があるというので、むしろお金が増えるので、みんな参加したがっていた。私が抜けるとみんなの120,000円どころか、先の39,000円も消滅するので、仕方なく参加し120,000円を架空口座に受けた。
だが、今回は“複雑なミスだった”ので「修理タスク」があと2回あると言われた。次の投資は215,000円で報酬は350,000円。その次のタスクは投資が55万円で報酬は79万円。これが終わるとタスクは完了して、お金が引き出せるとガイドが言うので、家の金に手を付けて投資した。架空の残高は140万円くらいになっていた。投資した金額は約89万円。50万円増えているが、危険なので今日限りで止めようと思っていると、「今回は修理が3回あったので引き出しするためのタスクが必要」と意味不明な指示があり、その投資額は120万円、報酬は279万円だという。参加者の一人は金持ちなのか、すぐに入金した。私は架空の口座に140万円あるのでそれを使うといったが、「投資の場合は毎回一度自分の口座から入金しないといけない、(架空の口座の)残高はまだ引き出せる状態にないので使えない」と言われた。残り二人も「もう払えない」と言うが、それでも親戚や友人に明日の朝までに借りるからと言って、タスクは翌日に持ち越された。この時点でやっと詐欺だと気付いた。
【相談】詐欺被害確定の瞬間 絶望と怒りと悲しみを乗り越えなければならない時。
すぐに弁護士の無料相談3件に電話をしたら、3件とも「詐欺です」との返事でした。うち2件は、サイト名から「登録者名がない」「サーバーはカリフォルニア、操作自体は香港」と場所まで突き止めてくれた。
翌朝、例のチャットルームからガイドや作業者たちから私への参加の催促が何通も届いていた。私が参加しなければ、彼らの140万円、またはこれから手にする279万円の合計420万円が消えるのだから・・・。彼らはすぐにサラ金に行って120万円借りても1時間後には420万円手にできるのだから早く用意しろ、と催促してきたが、弁護士の指示で無視。
すると全員揃っていなければ進まないはずのタスクが私ナシでも進み、みんなが「279万円頂きました」と喜びの声をチャットルームで交えていた。これは私への後悔を感じさせる手口で、実は私以外全員サクラだと弁護士に言われた。
その後ガイドとアシスタントから「あなただけまだタスクを完了していないが、まだタスクは用意しているから早く120万円を振り込んで、その後(タスクが違うので安くなったが)180万円と他の残高を引き出して買い物に行きましょう!」といった催促が続いた。
【不審点の気付き】初めからあったはずの不審感 少し変な日本語、変な雰囲気のある会話で異変に気付こう。
アシスタントとガイドは初めから日本人名を名乗っていたが、日本語が変なので確認したら二人ともシンガポール人で、日本国内ではあえて日本人のような名前にしているとの事で芸名のようなものと言っていた。しかし詐欺だと気付いてから思うと、他の客たちもチャットルームでの会話の日本語がおかしかった。例えばガイドの事を「先生」と呼び、自分たちを「生徒」と呼んでいたが、途中から「家庭教師」「研修生」などと呼び方が変わっていた。また私が215,000円を入金するのに渋っていた時には、一人の客がおそらくガイドに対して早くタスクを進めるように促したのだろうが、その時のチャットでの文言が「家庭教師!さぁ!」「私たちは生徒の時間は区切ります!さぁ、家庭教師!!」などといくら日本にも様々な方言や流行語があったとしても、これはないと思える日本語でした。振り返って始めからチャットルームを見ると、「情報をもらう先生!」「ニュース!」など意味不明な言葉が時々混じっていた。はじめから30,000円以上は使わないと、自分では境界線を作っていたつもりでいた。また、これを自分以外の友人や家族が行っていたらすぐにその不信感に気付いて止めさせていたはずなのに、自分となると「自分はこれ以上はやらないと決めているから大丈夫」という根拠のない自信が疑う事をやめていて、まんまと嵌められてしまった。
【返金請求】弁護士への依頼 その弁護士はどこで見つけた?
弁護士に相談した結果、被害があったその日なので、取り返しやすいので早めに動いた方がいいと言われ、3社の内の一番費用を抑えてくれた弁護士に依頼した。
弁護士からは、着手金16万円、成功報酬5%と言われ、入金後にすぐに動くために送金明細のスクショだけでも先に送ってくださいと言われた。
私は妻から借りたお金を入金し、スクショを弁護士に送った。
私は詐欺グループに対して、日本人名の1人の口座に3万円ともう1人の口座に85万円を送っていた。
彼らは詐欺犯に協力しているのか、口座を売ったのかわからないが、すぐにその口座を凍結させることで名義人から連絡が来ると同時に、まだ転送していない可能性があるので凍結口座の中から私の送金分を返還してもらうという流れだと説明を受けた。
翌日、すぐに3万円の送金先の人から連絡があったそうで、すぐに3万円は弁護士事務所を通して私の口座に戻った。残り85万円の方はまだ連絡がないまま待機状態。
この時点で私は、すでに私が人間不信になっている事に気付いた。
【人間不信】弁護士はあなたの知っている人なのか。 その弁護士をどうして信用できると証明できる?
詐欺犯に対して行った主な行動は次の通り。
① 投資の作業方法の説明だけを聞く
② 指示された金額を指示された口座に振り込む
③ 振り込んだ明細のスクショを送る
④ 安い金額のほうが実際に返金されたことで信用してしまう
⑤ イレギュラーな事が起こり、別途投資が必要になり、しなければこれまでのお金は無くなる
⑥ 高い金額の方で中々終わらずに、だまされたことに気付く
⑦ 高い金額が全額だまし取られた
それに対して弁護士に行った行為は…。
① 返還請求の内容を聞く
② 着手金を指示された口座に振り込む
③ 振り込んだスクショを送る
④ 安い金額の方の返金に成功し返金されて安心する
⑤ 高い金額の方は2週間経っても名義人からの連絡がないと言われる
⑥ 連絡がない場合は、個人情報の開示を銀行に申し立てをするために別途費用が掛かる
⑦ 結局変換されないで、弁護士費用の方が高くついた(未解決なので返還の可能性はある)
どうでしょう? 詐欺犯に対して行った①~④と弁護士に行った①~④は同じ行動を取っているのです。 もし弁護士も詐欺犯だとしたら⑤~⑦も詐欺犯と同じ流れではないか?
弁護士には念のため弁護士番号の確認を取っているが、直接会ったわけではない。
もしかして、この弁護士に連絡することまで詐欺犯のシナリオ通りに私が誘導されているのではないだろうか? そんな気がしてきた。
弁護士には犯人を捜すのは時間が掛かるから、今の詐欺救済法に基づいて振り込んだ先の名義人から返還する方が先に行った方がいいと言っていた。警察への被害届を出しても、警察の目的は詐欺犯を捕まえることが先決で、被害金額の返還には関与しないので届け出を出しても動くのも結果が出るのも2年後以降になると言う。まるで警察には行くなと言われているかのような錯覚に陥る。私はまだ詐欺グループに操られているのだろうか?
【警察への被害届】自分のちょっとした期待感から始まった後悔。 冷静になって振り返った時の反省の時間。
弁護士に相談した時に、警察への被害届が必要と感じたが、弁護士からは「警察は詐欺犯を捕まえることが先決なので、他の情報が溜まるまで動かないし、ほぼ詐欺犯を捕まえるのは無理なので、投資したお金の返還には何の頼りにもならないから行く必要はない」と言われた。これは予想外の返事で、本来なら先に行くべきといわれることを想定していた私にはさらに不信感が募る。
結局、警察に相談という形で訪問し事情を説明すると、確かにお金の返還は警察では行わない。そして詐欺犯は海外に拠点を持っている場合が多いので、探し出すのは難しいとの事でした。
しかし、私の不審に思う事の一つ、私が依頼した弁護士は本当に私の返還請求をしてくれるのかも相談してみることにした。
警察の見解では、詐欺被害に遭った人を救済する弁護士に成りすました詐欺も多いとの事だった。もしくは本物の弁護士だが、着手金を受け取った後は返還請求の活動をせずに、数か月後に「詐欺犯が特定できず、送金したお金もすでに別の口座から引き出されてこれ以上は追えない」として終わる。結局、弁護士費用を払っただけで被害金額は1円も戻らずに、余計に出費が増えたという事も多いそうだ。
そのため、私が被害に遭った送金先の口座の凍結状況を調べてもらった。凍結はされているが、誰がその申請をしたのかはわからない、残高はすでに空になっているとの返答でした。
警察には投資詐欺グループ、送金先の口座名義人、弁護士までを対象とした被害届を依頼した。
もちろん弁護士にはそのまま活動を続けていただくが、送金した被害金額の回収は難しいと思われる。今後は銀行に対して、口座名義人の情報開示を請求し、名義人本人から私の被害額の弁済を書けるそうだが、そこには約30,000円の追加料金がかかる。
まるで詐欺グループに次々に追加された投資金額のように感じる。
警察からは、弁護士が信じられないようだとしたら、これ以上弁護士への支払いはやめて被害金の回収もあきらめてはどうかと言われた。
もしかして、この警察も詐欺グループなのか…そう思ってしまう。
【まとめ】自分の欲しい物は自分から求めて行こう。 お金の支払いには十分な注意と理解が必要。
SNS上で出てくる”誰にでもできる副業“”簡単にできる副業“というサイトには注意が必要です。中には本当の投資や為替の広告もありますし、新NISAなどの貯蓄もあります。
しかしあなたが本当に始めたいのなら、一度SNSから出て、自分でサイトを探すか、銀行などに行って話を聞いたり、チラシをもらったりして、自分から探しに行くことが大事です。
向こうから誘ってくるものは参考程度までにしておきましょう。もし奥まで見ても漢字の表記や書かれている日本語などに違和感のある場合は、偽サイトと思ってもよいと思います。
そして、お金の振込先に注意してください。
振込先はどこなのか?
振込先は基本的には法人のはずですが、個人名義に振り込む場合、かなり疑った方がよいでしょう。サイトが法人なのに口座が個人などといった矛盾に気付きましょう。
少しくらい損してもいいか…、少額でも簡単に支払わないでください。
私の場合のように連帯責任や失敗のための別タスクなど様々な誘導が来ます。
そしてそのたびに振込額が増えていきます。この場合、報酬額も増えるように見せかけているので、「後で増えるのならいいか」と思わないでください。この後にさらに別のタスクが急に増えますから。
まだまだ獲物を諦めない詐欺グループ。
数人でのチャットルームでのタスクの場合は、他の客からの要望も無視しましょう。
あなた抜きでタスクを行った後で、みんなが報酬をもらい「ボーナスを頂きました」「お金が渡されました!」とか「でも今回でとどめよう」と書いているのが見えます。その後サイトの係の人から再度誘われますが、これも無視しましょう! あなたをターゲットにした詐欺行為はまだ続いているのです。先ほど喜んでいたチャットルームの人たちはサクラです。
よく読むとおかしな漢字、おかしな名前、おかしな日本語…。
騙された後で気付くより、先に気付きましょう。
お金の増え方と社会の中のお金の動き。
楽してお金が増える、寝ていても翌朝には増えている、少額から始めたのに1か月で200万円増えた、そんな話はないと思ってください。あったら日本人みんなそうしています。そしてそうなった場合、そのお金はどこから発生しているのか考えてみてください。
何もない所からお金は増えません。 そうです、みんな詐欺です。
支払ったお金は基本的にはもう戻らないと思って、詐欺グループたちの行為を無視しましょう。そうすることで詐欺グループを根絶させることもできるのです。
私は騙されない!そう思っている人ほど騙されるそうです。
警察や弁護士に聞いたところ、信託銀行の行員で詐欺への注意喚起をする立場の人が、まんまと1千万円近くを騙し取られるのが詐欺です。わずか5万円でも騙し取るのが詐欺です。
奴らを相手にしない行為が、この世から詐欺をなくす効果的な対策なのです。
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