近年、海外拠点を持つ詐欺グループによる被害が急増しています。
「何か簡単にできる隙間バイトはないかな?」
「簡単で収入の大きな副業があったらいいのにな!」
「SNSでもたくさん広告が出ているから、どれかやってみようかな」
そんな感じで副業を始めたいと考えている皆さん、特にSNSを利用して情報収集をしている方は、詐欺に対する警戒心を持つことが非常に重要です。
特に日本人が標的となるケースが多く、その手口は巧妙化しています。
本記事では、詐欺グループの手口とその見分け方や対策について解説。
詐欺に遭わないような安全な生活を送りましょう。
海外拠点の詐欺グループが日本人を狙うわけ
海外の詐欺グループは日本人をターゲットにしており、その手口はますま巧妙になっています。
彼らの目的はインターネットを通じてさまざまな手口を用いて金銭を騙し取ることです。
詐欺グループが日本人を狙う理由は、日本人が比較的高額な資産を持ちながら、投資に対する知識が低い人が多いことが主な要因と言えます。
また日本人は他人を信頼しやすく、詐欺に対する警戒心が比較的低いことも理由と考えられるでしょう。
海外に拠点を置くのは日本の警察からの捜索を遅らせ、世界の至る箇所のサーバーを経由させることで捜索を困難にするのが目的です。
これらの詐欺グループに対する認識を高め、適切な対策を講じることで詐欺被害を未然に防ぐことができます。
詐欺グループの代表的な手口
彼らはまるで会社のような組織を作り、それぞれ日本人のような偽名で活動しています。
しかし中には不自然な名前もあります。
例えば「久美子博美」、日本人の苗字を理解せずにつけた名前でしょう。完全に良くない人物と思ってもいいでしょう。
逆に実在しそうな日本名を使うこともあります。
詐欺グループの手口は非常に綿密なマニュアルを作成してあらゆるパターンに対応できる準備をしているのです。
具体的には以下のようなものがあります。
- フィッシング詐欺
- 投資詐欺
- 偽の求人広告
- ロマンス詐欺
それぞれについて具体的に見ていきましょう。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、銀行や有名な企業を装ったメールやメッセージが送られてきます。
これらのメッセージにはリンクが含まれており、クリックすると偽サイトに誘導され、ログイン情報や個人情報を入力させられます。
偽のウェブサイトやメールを使用して個人情報を盗む手口です。
これには、以下のような特徴があります。
- 公式サイトに酷似したデザインやURL
- 緊急を装ったメール内容
- 個人情報やパスワードの入力を求める
本当の銀行からのメールだと思い込んでリンクをクリックし、口座情報を入力した結果、不正に預金が引き出される被害などがあります。
投資詐欺
投資詐欺は短期間で投資した資金が2倍になるなどの高利益をうたう、ニセモノの投資案件を通じてお金をだまし取る手口です。
具体的には以下のような方法があります。
- 高収益の実績があったような偽の体験談
- 有名人の名前を使った信頼性の偽装
- 初期投資の要求とその後の連絡途絶
このような案件に投資したところ、最初は少額の利益を出して信用させ、その後さらに大きな投資を促されて最終的には全額を失う結果となります。
偽の求人広告
SNSで「月収50万円以上可能!在宅で簡単な作業だけ」といった広告を見かけることがあります。
これは偽者の広告で人を集めてお金を騙し取る手口です。
また数人の体験談が掲載されている場合もあるでしょう。
例えばこの広告に応募したところ、最初に登録料やテキスト料として数万円を請求され、支払った後には何の連絡もなくなったという事例があります。
ロマンス詐欺
恋愛詐欺とも言われ、SNSや出会い系サイトを通じて接触し、友情や恋愛感情を抱かせます。
ほどよく信用できるようになると感情に訴えて金銭を要求する詐欺です。
具体的には以下のような方法があります。
- 長期間のやり取りで信頼関係・恋愛感情を構築
- 緊急の金銭的支援を求める
- 嘘の病気や事故をでっち上げる
会った事もなければ、知り合って間もない人にお金を工面することはやめましょう。
DMやLINEなどで顔写真を見せられても、本人なのか断定できません。
どうしても心配になるのであれば行政や相談センターなどを紹介してあげる程度にしておきましょう。
詐欺を見分けるポイント
インターネットを通じて日本や海外の人と知り合えるのは素晴らしい経験です。
しかし相手は必ずしも友情を求めている人とは限りません。
話をするうちにお金の話に近づける人、翻訳機を使っている外国人で言葉が理解できない人もいるでしょう。
日本人だというがあまり使わない単語を使ったり、少し変な漢字で表記されていたりする場合もあります。
日本人はこのような違和感を追及しない性格の人が多いです。
- 信じ込まないためのアドバイス
- 具体的な見分け方
- セキュリティソフトの活用
- SNSでの情報収集
詐欺に遭ったあとで見ると違和感だらけに気付くことが多いですが、事前に違和感に気付くことで詐欺被害を回避しましょう。
信じ込まないためのアドバイス
これまでの人生で「信じ込みやすい」と感じる人も「疑い深い」人でも関係なく詐欺にはかかるものです。
詐欺に遭わないためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 高収入を強調する広告に注意! 現実的な報酬と業務内容を確認する
- 登録料や初期費用の要求に警戒! 正当な求人は、事前の費用要求はしない
- 個人情報の取扱いに注意! 信頼できるサイトであるかどうかを確認する
実際に銀行でお客さんに詐欺の注意喚起していた行員ですら詐欺に会った事例があります。
具体的な見分け方
詐欺サイトなのかの見分け方をいくつか知っているだけでも、詐欺被害への対策になるでしょう。
具体的な見分け方として、以下の点に注意してください。
- 企業の評判を確認する:Google検索などで企業情報とともに評判や口コミを確認する
- 連絡先や所在地を確認する:企業や連絡先を自分で調べて、責任者・住所・メールアドレス・URL・電話番号が明示されているかを確認する
- 契約内容を確認する:契約書や利用規約をよく読み、不自然な日本語や漢字表記、明点があれば確認する
めんどくさいと思われがちですが、詐欺の後に数十万円を騙し取られた後に「調べておけばよかった」と後悔する可能性が高いです。
SNSでの情報収集
SNSでも情報を収集することで詐欺に遭うリスクを減らせます。
SNS上では日頃嫌われやすいアンチコメントが意外に危険度を教えてくれることもあるので利用しましょう。
- 公式アカウントを確認する:公式マークが付いているアカウントかどうかを確認する
- SNS:XやFacebookで企業名を検索し、ユーザーの反応やコメントを確認する
- フォロワーやレビューを確認する:多くのフォロワーがいるか、レビューが良いかを確認する。
- 不自然なメッセージに注意する:不自然な日本語や怪しいリンクが含まれているメッセージは警戒する
過去に同じように騙された人が書き込んでいる場合は、重要な情報として取り入れましょう。
セキュリティソフトの活用
フィッシング詐欺などを防ぐためには、信頼性の高いセキュリティソフトを活用することが有効です。
同様に詐欺サイトを検知するだけのソフトもあります。
- フィッシングサイトへのアクセスをブロックする機能がある物をインストールする
- ウイルス定義の更新を定期的にアップデートする
- 詐欺ウォールをインストールする
詐欺ウォールは過去の詐欺に使われたURLを記録している他、警察と連携して詐欺サイトを共有しています。
またAIによって詐欺犯の今後の傾向を予測して怪しいと思われるサイトの検知も可能です。
実際にある男性がSNSで「在宅で簡単に稼げる」との広告を見かけました。
しかし、公式アカウントではなく、フォロワー数も少なかったため、彼は警戒し詳細を調べることにしました。
その結果、他の利用者からの「詐欺だった」とのコメントを発見し、応募を避けることができました。
このように、事前に情報を確認することが重要です。
ネット詐欺被害の対策
インターネット詐欺はお金を騙し取られると、ほとんどの場合すぐに振り込んだ口座からお金を引き出されて、被害金の返還ができず、犯人も見つからないのが現状です。
そのため被害に遭ってから動くよりも、被害に遭わないための事前の予測・警戒をしておきましょう。
- 自分の情報を守る
- 金融機関や行政機関からの連絡方法を知っておく
- 初めての投資話は専門家に直接アドバイスをもらう
- 恋愛詐欺を見極める
少しの気の緩みや楽しさを求めることで、慎重さが欠けることがあります。
しかし定期的な客観視をすることで違和感に気付けたら詐欺被害を回避できるかもしれません。
自分の情報を守る
詐欺から身を守るためには、まず自分の情報をしっかり管理することが大切です。
ネット詐欺の場合、物理的な盗難は少ないでしょう。
だからこそ狙われているのはあなたの情報と誘導と保護力なのです。
以下の対策を実践しましょう。
- メールやメッセージのリンクを不用意にクリックしない
- パスワードは定期的に変更して使い回さない
- SNS上での個人情報の公開を控える
- 誰かと画面共有中に暗証番号などは入力しない
画面共有中は暗証番号自体は「*」や「●」で表示されていますが、画面にはキーボードが写っているので押しているキーがバレます。
金融機関や行政機関からの連絡方法を知っておく
金融機関や行政機関を装った電話やメールによる詐欺が多発しています。
金融機関や行政機関からの支払い遅延や給付金のお知らせなどはハガキや封書で届きます。
急を要すると言って電話などで催促してくることはありません。
- 金融機関と支店名・担当者名を聞いて折り返し電話する
- 折り返しの電話は、電話帳や公式サイトに表示された電話番号にかける
スマホなどの着信履歴にそのままかけ直さない - 公式サイトからログインするようにする
あとで行員や署員が重要書類を預かりに行くとか、証拠品をすぐに提出しないと有罪になるといったことはありません。
初めての投資話は専門家に直接アドバイスをもらう
高収益をうたう投資話は詐欺の可能性が高いです。
特に投資について詳しくない場合は、あなたに売りに来た人ではなく、あなたから専門家のいる金融機関などへ行って相談しましょう。
- 投資先の信頼性を十分に確認する
- 知識のない投資に手を出さない
- 不審な投資話には応じない
投資の知識が乏しい場合は高利益と聞くと信じ込みやすいですが、銀行や証券会社などの専門家に相談してから投資を始めましょう。
恋愛詐欺を見極める
SNSや出会い系サイトでのやり取りには十分注意が必要です。
本当に将来の伴侶を探している人も大勢いますが、中にはその真剣な想いを悪用する人も少なからず混じっていると認識してください。
- 見知らぬ人とのやり取りに慎重になる
- 金銭の要求があった場合は詐欺を疑う
- 相手のプロフィールや背景をよく確認する
- 自分のプロフィールや資産の話はしない
恋愛詐欺は結婚を目的にやり取りが始まるので、自然と貯蓄の話が出やすいです。
そこであなたの貯蓄や資産がターゲットにされるので、直接会ってかなり信用できるまで資産の話はやめましょう。
もしあなたの財産や貯蓄を目当てにお付き合いや結婚をしようとしているのなら、お付き合いも結婚も避けた方がいいでしょう。
結婚後に詐欺行為をはたらく人もいるからです。
実際の被害事例
実際にネット詐欺に遭った人や被害額は、2023年度で発生件数が5,578件、被害総額が約87.3億円でした。
2022年と比較するとそれぞれ約5倍、約5.7倍と前年を大きく上回る状況です。
それぞれの被害者に事例を参考にしてください。
フィッシング詐欺の被害
Aさんは銀行からのメールを装ったフィッシング詐欺に遭い、口座から450万円が引き出されました。
メールのリンクをクリックし、偽のウェブサイトにログインしてしまったことが原因です。
投資詐欺の被害
Bさんは高収益をうたう投資話に乗り、800万円を失いました。
投資先の信頼性を十分に確認せず、短期間で大きな利益を得られるという誘惑に負けたことが原因です。
恋愛詐欺の被害
CさんはSNSで知り合った外国人に恋愛詐欺に遭い、300万円を振り込んでしまいました。
相手が緊急の支援を求めてきたが、今後は夫婦になるのだからと信頼関係があると思い込み騙されたのです。
詐欺被害に遭った場合の対応
詐欺被害に遭ったら気が動転してしまうかもしれませんが、自分一人で悩んだり考えたりせずに友人や家族の相談して、専門機関など第3者への連絡することが必要です。
- 迅速な関係部署への連絡
- 詐欺被害金の返還方法
落ち着きや冷静な判断ができるようになったら、迅速に対応しましょう。
迅速な関係部署への連絡
詐欺被害に遭った場合、迅速な対応が重要ですが、2次被害を出さないためにも家族や友人に相談しましょう。
- すぐに警察に通報する
- 金融機関に連絡し、不正取引を止める
- 必要に応じて弁護士に相談する
それぞれの機関に詐欺被害を訴えるために証拠が必要です。
- 相手とのやり取りをしたメッセージやLINEなどの保存
- お金をどこにいくら振り込んだのかわかる明細
web上で保存しても相手が削除してしまうので、可能な限りスクショで保存するのがよいでしょう。
弁護士は知り合いの弁護士がいないのであれば、各都道府県にある「法テラス」への相談をおすすめします。
慌ててネット上で探した弁護士の場合、着手金を支払っても「犯人に逃げられた」と言って終わる場合があります。
このような場合、詐欺被害金と弁護士の着手金も失ったことになるのです。
「法テラス」は弁護士会館の中などにあり、多くの弁護士がいて無料相談もあるので安心できます。
詐欺被害金の返還方法
詐欺被害金の返還はいくつかの方法がありますが、全額返ってくることはあまり希望が持てません。
以下が返還方法の一部です。
- 金融機関からの返金要求
- 弁護士を通じた法的手続き
- 詐欺グループに対する訴訟
詐欺犯の口座に送金した直後なら、送金した金融機関の支店に連絡すれば、詐欺犯が口座から引き出すまでに口座を凍結して引き出せないようにすることができます。
弁護士は振り込んだ口座の名義人に対して、当人の口座が詐欺に協力したことを警察に立件するなどの法的措置を条件に弁済させることができます。
しかし口座を犯人側に売ってしまっている場合が多く、口座を売るほどなので金銭を持っていなくて自己破産している人が多いです。
自己破産されてしまうと弁済を強制できません。
警察が詐欺グループを摘発できれば、刑事裁判の後に民事裁判で被害額を変換交渉が可能です。
しかし犯人の資産があなたや他の被害者の被害額より少ない場合は、被害者で均等割りするので全額返金は難しいでしょう。
まとめ
海外拠点を持つ詐欺グループの手口はますます巧妙化しており、日本人がターゲットとなるケースが増えています。
しかし、詐欺や投資などの正しい知識をもって適切な対策を講じることで、被害を未然に防ぐことが可能です。
また詐欺犯の特徴を知ることで危険を察知することもできます。
副業を始める際に、詐欺に遭わないためのポイントを押さえることは非常に重要です。
本記事で紹介した見分け方を実践することで、安全に副業を始めることができます。
安心して副業を始めるためには、常に慎重であることが求められます。
詐欺に遭わないように自身の身を守るための知識を持ち、詐欺に対する意識を高めて安全な生活を送りましょう。
(執筆者 大田恵三)