「ひぃひぃお爺さんはどこでどんな暮らしをしていたのかな?」
「ひぃお爺さんて何て名前なのかな?」
祖父母のことは知っていても、曾祖父母になるとほとんどの方が名前を知らないのではないでしょうか。
お盆やお彼岸にお墓参りをする機会があります。
お墓には「〇〇家代々之墓」となっている場合もあることでしょう。
お墓参りや法事で戒名を見聞きすることはあってもピンとこないですよね。
自分のご先祖様は何て名前で、どんなところで暮らしていたのかを知るだけでも親近感がわきます。では曾祖父母、高祖父母、それ以上のご先祖様を調べてみましょう。
家系図を作り遺す動機
家系図を持っている家庭は、核家族化により減少している傾向です。
また自分が今生きているルーツとなる両親・祖父母と同じく、その親たちの存在を知ることは自分たちの歴史を知ることになります。
なぜ家系図を残すのか、どのように家系図を残すのか。
- 家系図で得られる3つのメリット
- 家系図を作る人が増えている理由
- 自分で家系図を作ることの楽しみ
今の自分には興味がないかもしれないですが、子孫の中には興味を持つ者も出てくる可能性があります。
そんな未だ見ぬ50年後、100年後の孫たちへ遺し続けることは最高の贈り物となるでしょう。
家系図で得られる3つのメリット
家系図があるだけで人生がより豊かになります。
- 自分のルーツを知ることができる
- 家族から親族へとの絆が強まり、新しい交流が生まれる
- 将来の世代に受け継げる「財産」を作る
過去を知り、今を感じ、未来へ遺すことの大切さをご案内します。
自分のルーツを知ることができる
自分の先祖はどんな人なのか、気になったことはありませんか?
家系図を作るために様々な情報を知ると、自分のご先祖様たちに起きた出来事や歴史がわかります。
子供の生まれた場所などを順に追うと、当時どこへ引っ越したのかなどが推測できるのです。
代々住んでいる家では、過去帳や記録・日記などから知ることができます。
しかし核家族化した現代では過去の情報が少なくて知らないという家庭も多いと思います。
あらためて自分のご先祖様を知ると自分のルーツが見えてくるでしょう。
そしてご先祖様を近く感じるようになります。
家族から親族へとの絆が強まり、新しい交流が生まれる
家系図を作成していると必然的に遠い親戚の存在を知ることになります。
これまで自分たちの家族、または親戚だけの十数人の血縁者が一気に50人などと増えていきます。
時代を超えた親族との再会です。
お互いの話を交える中で新たな発見があるかもしれません。
しかし、中には不届き者がいたり、こちらを不届き者と警戒して近寄らない人もいるでしょう。
そのような場合は無理に交流しようとしないでそっとしておく思いやりも必要です。
将来の世代に受け継げる「財産」を作る
自分の親やご先祖様を辿っていくと逆三角形のような感じで広がるのです。
もしかすると外国人や歴史的に有名な人とつながりが分かるかもしれません。
出来上がった家系図を見ると自分が生まれて来るまでに、どれだけの人が必要だったのかが分かります。
また今後、家系図はどんどん広がります。
自分の子、孫がこの先増えていくと自分を起点に三角形になる感じで広がります。
自分が自分のルーツを知りたいと感じて家系図を作ったのなら、同じ遺伝子を持つ子孫の中にも同じように過去を知りたい人物が出てくるかもしれません。
今の時代は墓石の刻字や紙媒体の過去帳からデジタル保存への切り替えの時期です。
今、情報をなくしてしまうと墓石や過去帳の記録は見れなくなるかもしれません。
未来の子孫のために家系図をさらに広げてみましょう。
家系図を作る人が増えている理由
SNSが普及して日本や世界の真の歴史を探る傾向が増えています。
では自分の家の歴史はとなると、意外と知らないものです。
自分の家の歴史は家系図で読み解くことができます。
家系図は行政書士へ依頼すると作成してくれるサービスがあります。
しかし自分の家のこと、自分のことは自分で調べたいと思う人も多く、インターネットの普及で多くの情報を簡単に手にすることができる今、自分で家系図を作る人が増えています。
そしていま作らなければ、子孫はさらに調査が難しくなることが想像できるからこそ、自分から動く人が増えているのです。
自分で家系図を作ることの楽しみ
家系図を作ることは楽しいです。
家系図を作るための情報収集は除籍謄本を取り寄せて読み解くのですが、昔の漢字や昔の地名が出てきます。
元号も気が付くと明治にさかのぼり、文久や慶応、安政などと学校の歴史で習った元号にまで到達します。
日本や世界の歴史と照らし合わせると、自分の高祖父はペリーの黒船を見たのかもしれない、なんてことを想像するとロマンが溢れます。
家系図作りの注意点
家系図は立派な個人情報です。
これから家系図を作ろうとした時に色々な情報を得る必要があります。
市区町村役場に除籍謄本を取り寄せるときは、調べたい対象の人の直系血族(子・孫など)であることが条件です。
この条件に当てはまらない場合は、親戚やいとこに協力を依頼するほかはありません。
しかし非協力的な場合もあります。
さらに除籍謄本を調べているうちに血縁関係があることが分かった人には配慮が必要です。
相手にとっては、あなたは全く知らない他人だからです。
突然、除籍謄本を持って家を訪れて「あなたの遠い親戚です」と言われても、今の時代では詐欺などの類にしか思われないでしょう。
もし必要なら始めは手紙などで失礼のないような文書と理由そして血縁者であることを証明できる除籍謄本のコピーを添えて依頼しましょう。
そこで協力が得られない場合は無理にお願いするのは禁物です。
相手にとってあなたは見知らぬ他人なので、迷惑をかけてはいけません。
家系を調べる具体的な8つの行動
家系図を作るときには見る・聞く・考えるがポイントです。
情報を得るためには古い資料を見たり、古い時代の話を知っている人に聞いたりしなければなりません。
そして得た情報に整合性があるのかを考える必要があります。
家系図を作るために必要な情報を得るための8つのポイントを紹介します。
- 家族から情報を集める
- 除籍謄本を取り寄せる
- 過去帳を調べる
- 法名碑を調べる
- 郷土史を調べる
- 過去の地名を解明する
- 古い書体、筆跡を解読する
- 暦の変化に注意する
なかなか根気のいる作業になりますが、自分から知りたいと思って調べている人にとってはワクワクする気分が勝って楽しみながらできると思います。
家族から情報を集める
はじめは家族や親戚に直接聞くことから始めるとよいでしょう。
祖父母の名前や出身地、曾祖父母の名前や生まれた場所や歴史などは、父母や親戚の中で知っている人がいることも多いです。
- どんな人だったのか
- 写真はあるのか
- どんな仕事をしていたのか
- どこに住んでいたのか
聞くだけで多くの情報を得られると思いますが、まずはメモ程度に留めておきましょう。
後々調査していくうちに、聞き伝えられたことはいくつかの情報が混じっていることもあるので、最後に精査します。
除籍謄本を取り寄せる
市区町村役場で除籍謄本を取り寄せることができます。
戸籍を調べるうえで役場では3つの戸籍に関する書類があります。
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 改製原戸籍
戸籍謄本は今現在の戸籍に関する謄本です。
家系図を作るために先祖を辿る場合は、除籍謄本または改製原戸籍を請求しましょう。
また「謄本」ではなく「抄本」もありますが、「抄本」は必要な人の情報しかないので「謄本」で請求しましょう。
ご先祖様の兄弟の存在なども知ることができます。
請求書には使用目的を書かなければなりませんが、「家系図作成のため」と書けば受理されます。
さらに聞かれる場合は「先祖供養のため家系図と戒名を探している」と書けば大丈夫です。ただしあなたがその対象の人の直系卑属であることが条件です。
また除籍謄本などで調べる場合、遡れる時代に限界があります。
以前は除籍謄本などの保管期間は除籍後80年でした。
現在は法改正で150年の保管になっていますが、80年の保管ころに廃棄された除籍謄本はすでにありません。
おそらく江戸時代末期の元号で文政・天保・嘉永などが限界だと思います。
ちなみに嘉永の頃の出来事にペリー来航があります。
過去帳を調べる
役場の除籍謄本で行き詰ったとしても次の手があります。
それは過去帳です。
過去帳はお寺にもありますが、古くからの家だと仏壇にあるかもしれません。
過去帳には故人の名前、戒名、没年月日、没年齢などが記されております。
お寺の過去帳はよほどのことがない限り廃棄したりしないので残っていることも多いです。
しかし、あらたに亡くなった人を書き足す以外には開けることは少なく、直系卑属でも簡単には見せてもらえません。
なぜなら長い年月をかけて現在ではほぼ他人となる人の情報までも見られてしまうからです。
そして重要な歴史書ですから、勝手に付け足したり汚されたりしないためでもあります。
過去帳を見るためにはまず菩提寺に行かなければなりません。
除籍謄本などからどこで亡くなったのかを調べて、その付近のお寺に確認するのです。
古い本家が残っており、檀家として菩提寺との関係が今もあるのであればお願いすると半足がスムーズに進むこともあります。
しかし現代では住職不在の菩提寺も増えており、無人のお寺も多いです。
代行をしている別のお寺の住職にお願いしても、過去帳に関しては各家での保管分の過去帳に任せているなどの管理方法が多く過去帳の存在自体を調べることが難しくなっています。
法名碑を調べる
過去帳からの情報が行き詰った場合、お墓を探す方法があります。
菩提寺や住んでいた集落の近くの墓地を探してお墓を探します。
どれが自分の先祖のお墓なのかはわからないですが、お墓には法名碑という戒名を彫った石碑があります。
探している人の名字のお墓の法名碑には故人の名前、戒名、没年月日、没年齢などが記されております。
それを読み解く方法です。
しかし、場所は墓地です。
ほかの家族のお墓もありますし、調べているお墓も自分のご先祖様のお墓とはまだ判明していないわけですから、失礼のないようにしましょう。
また古い墓石や法名碑では彫った字が読みにくかったり、旧字体で解読できない場合もありますので、何かに書き記して家や図書館などで解読することをお勧めします。
もし除籍謄本に記された人の名前が見つかったなら、その墓地のことを役場に聞いて菩提寺を探してもらうこともできます。
郷土史を調べる
過去帳やお墓から手掛かりがない場合、図書館でその地方の歴史を調べたり郷土史を調べることでヒントがあるかもしれません。
例えば火事や天災などが起きた時の資料の中に名前がないか探したり、お寺や神社の改築に寄付した人の名前などを探す方法です。
その町の役人や当番などで名前が載っていることもあります。
郷土史は各役所に連絡すれば買うことが可能な場合もありますし、図書館などで閲覧できることもあります。
過去の地名を解明する
除籍謄本などである程度の古い時代にまでさかのぼると、本籍地が少し違っていることがあります。
違っているのは本籍地が変わったのではなくて、地名が変わったり地名の漢字が旧字体になっていたりする場合があります。
逆に本当に戸籍を移している場合もありますので、古い地名などは当時の地図や郷土史を使って調べる必要があります。
古い書体、筆跡を解読する
除籍謄本や法名碑にある字は古い書体の場合もあります。
除籍謄本が書かれたときにその父親の除籍謄本とは自体が違う場合もあります。
また直筆のために現代の人には読みにくい字もあるでしょう。
例えば二十日は廿日、三十日は参拾日などです。
古い地名と同じく図書館やネットで古い字体を調べると解読できてヒントになることもあります。
暦の変化に注意する
現在の日本は太陽暦を採用しています。
しかし明治以前は太陰暦(旧暦)を使っていました。
除籍謄本を遡ると元号が明治以前になることがあります。
太陽暦に変わったのは、旧暦の明治5年12月3日を新暦の明治6年1月1日としています。
そのため没年月日などで計算が合わないと感じることがありますが、このズレを知っておけば整合性が取れるのではないでしょうか。
ちなみに旧暦では閏年だけでなく、閏月というのもあります。
また日曜日、月曜日の代わりに大安・赤口などが書かれているのも時代の違いを感じられます。
家系図を楽しむ、遺す
ご先祖様の情報が集まったら家系図としてまとめてみましょう。
いくつかの情報で矛盾が生じることもありますが、それを解析するのが楽しみの一つでもあります。
どうしても解析できない場合は、注釈として書き残しておくといいでしょう。
出来上がった家系図は家族のために、これからの子孫のために大切に保管しなければなりません。
同時に今いる家族みんなでご先祖様を偲ぶことで家族の絆がより深まるのではないでしょうか。
家系図作成ツールを使う
今までの家系図は過去帳と同じく紙に書かれていました。
今の時代にせっかく編集しなおした家系図を、紙媒体とデジタルの両方で残すのはどうでしょうか。
ネットでは家系図作成ツールなどもあり、情報を入力するだけで立派な家系図ができます。
紙媒体で残しておくことで将来、味のある家系図にもなります。
またデジタルで残すことで追加や修正が楽にできたり、データを分散したりして持つことで火災や震災で紛失することもなくなります。
デザインに工夫してオリジナリティを出す
家系図は自分の見やすいデザインにすることができます。
役所に提出する必要もないので、自分のオリジナルの家系図を作成してみましょう。
- 血縁を線でつなげる家系図
- 必要な情報を表にまとめるデータ型
- 時系列が分かりやすい年表型
- それぞれが生きていた年数を年表に表すグラフ型
一般的な血縁関係を表す線でつなぐ家系図はとても見やすい家系図です。
データ型は自分でつける除籍謄本のまとめのようなものです。
エクセルなどで作れば必要な情報だけを表示することですぐに調べられます。
年表型は同時期に起きた社会問題や歴史を書くことでご先祖様がどのような生活をしていたのか、どんな時代を生き抜いたのかがうかがい知れます。
グラフ型は年表にそれぞれの生きた年を表示することで、誰と誰が面識があったのかなどが想像できます。
とても見ているだけで楽しい家系図になるでしょう。
先祖のストーリーを記録する
家系図と同時にストーリーを載せるとより一層、ご先祖様の生涯が分かります。
また今自分が生きていることへの感謝にもなります。
父母、または祖父母からの思い出話を聞き取ることから始めます。
次にいとこを通じて親戚の思い出話も聞きましょう。
家系図を作成するときに得た除籍謄本を読み砕くと誰がどこで生まれたのかが分かります。
みんなの生まれた場所と年月日を並べると、ご先祖様がどこで暮らしていたのかが分かります。
同時に自分の名前などに秘められた意味などが分かることもあります。
ストーリーは家系図とは別に「〇〇家物語」などとして残して後世に伝えていくといいでしょう。
まとめ – 家系図が繋ぐ過去・現在・未来
家系図があると、今の自分のルーツが分かり、生きていることとご先祖様への感謝の気持ちがあふれ出てくるでしょう。
はじめは自分の知っている範囲だけだったのが、どんどん増えていく楽しさを味わってください。
もし150年前のご先祖様が、山奥の農村にいたのならその地に行ってみるといいでしょう。
家のあった場所に立ち、遠くに見える山などを眺めてみましょう。
近くに古くからありそうな岩や神社など、ご先祖様が触った場所かもしれません。
その光景は多少の近代的な電線などは目に入りますが、きっと150年前のご先祖様が見ていた光景と同じです。
まるでタイムスリップしたかのような気分になれます。
その光景を写真に残しましょう。
100年後の子孫が、今のあなたやご先祖様に遭いに来るかもしれません。
家系図はそんなロマンあふれる力を持っているのです。
(執筆者 大田恵三)
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